シェリーとは

シェリーとは

“シェリー”って!?

シェリーは、なんと!3,000年もの歴史を持つ、スペイン アンダルシア地方の白ワインの一種です。シェリーは地中海を支配していたフェニキア人がスペインにブドウ栽培をもたらした3,000年前から造られていました。日本では食前酒というイメージを持っている方が多いと思いますが、食前から食後まで食事と一緒に楽しめる幅広い味わいのワインです。

シェリーは「長生きの酒」「調子が悪い時は倍飲め」と言われています。
周囲に元気がない、楽しくない、落ち込んでいる、食欲がない人がいたら、ぜひシェリーを勧めてみて下さい。

更にシェリーはコレステロール値の低下を促し、抗酸化作用で老化を抑える、まさに“百薬の長”なのです。

原料は?

なんと!たった、3種類の白ブドウだけ

パロミノ
Palomino

パロミノは、シェリー造りで使用されるブドウの約95%を占め、ドライシェリーは全てこのパロミノから造られます。パロミノには「パロミノ・フィノ」と「パロミノ・デ・ヘレス」があり、現在はパロミノ・フィノが主流です。

ペドロ・ヒメネス
Pedro Ximénez

主にアンダルシアで栽培されている品種。ヘレスでの栽培面積は少なく、お隣のモンティージャ モリレスで栽培されたペドロ・ヒメネスもシェリーに使われています。

モスカテル
Moscatel

モスカテル(マスカット)はとても古い品種です。成熟も早く、フローラルなアロマが特徴です。シェリーのモスカテルの多くは海岸沿いに位置するアレナ土壌のチピオナやロタで主に栽培されています。

特徴的な土壌

アルバリサ
Albariza

石灰質土壌で、炭酸カルシウムが多く含まれたこのアルバリサ土壌で育ったブドウが良質でクリアなシェリーを造るとされています。

アルバリサ土壌は保水性に優れているのが特徴で、スポンジのように雨季(10月~5月)に雨を吸い込み、地中に溜めておくことができるのです。

アルバリサはシェリー産地の90%以上を占めていて、その他に、粘土質のバロと砂質のアレナ土壌があります。

シェリーの産地は?

シェリーの産地は、スペイン南部のアンダルシア州カディス県“シェリー三角地帯”と呼ばれる

ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ
エル・プエルト・デ・サンタ・マリア
サンルーカル・デ・バラメダ

の三つの地域で造られる「酒精強化ワイン」です。 原産地呼称の規定に従い、この限られた地域で造られたワインのみがシェリーと名乗ることができます。

“シェリー”というのは英語名で、スペインでは「ビノ・デ・へレス(へレスのワイン)」といいます。


ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ


サンルーカル・デ・バラメダ


エル・プエルト・デ・サンタ・マリア

気候の特徴

シェリー三角地帯の気候は暑い南国地帯の特徴に加えて、大西洋の影響も多く受けています。 またこの地域に特有の二つの風“ポニエンテ” と“レバンテ”がブドウの成熟に大きな影響をもたらします。

01ポニエンテ

大西洋から東に向かって吹く湿気をおびた涼しい風。海水の蒸発によって湿気を帯びた風が、夏の炎天下のブドウに潤いを与え、熱くなるのを防いでくれます。

02レバンテ

内陸から吹く、熱く乾燥した風。この風はブドウの実を熟成させます。
ブドウには良い風ですが、この地域では、レバンテが吹くと“かみさんの機嫌が悪い”と、男性達は口を揃えて言います。

普通のワインと何が違うの?

ワインの表面に現れる「フロール」と呼ばれる産膜性酵母の膜

ワインの表面に現れる
「フロール」と呼ばれる産膜性酵母の膜。

この地域ではワインの発酵が終わるとワインの表面に“フロール“と呼ばれる産膜性酵母の膜が現れます。マンサニージャとフィノはこの産膜性酵母の膜の下で空気と直接触れずに熟成をします。

フロールはワインの中の残糖やグリセリンなどを養分にしているので、液体中の糖分が少なくなり、とってもドライなシェリーになります。

そして、ワインに独特の風味を与えてくれます。ワインに効用をもたらす酵母の膜が自然発生するのは、スペインでは、この地域やアンダルシア内陸のモンティージャ・モリレスなど限られた地域だけ。

熟成方法とブレンド

アメリカンオークの樽で最低2年以上熟成
熟成方法とブレンドによりシェリーは色々なタイプが生まれます。

生物学的熟成…
フロールの下で熟成。フロールがワインの酸化を防止し、独特の風味を与えます。アルコール度数15%がフロールにとって理想的な環境なのです。

酸化熟成…
フロールなしでワインが空気に触れながら酸化熟成します。17%で酵母は膜を維持することが困難になり、フロールは消滅します。

どちらの熟成方法も空気が必要ですので、樽にワインを満タンに入れません。シェリーの熟成には600リットルの樽を使いますが、500リットルしか入れず、写真の様に空気のスペースを確保します。

「ソレラ・システム」というシェリー独特の熟成方法

ソレラ・システム
(El Sistema de criaderas y solera)

“秘伝のタレ”のように継ぎ足し方式で熟成させる熟成方法。

この特殊な熟成方法により、複数の熟成年数、複数の樽のワインが複雑にまじりあい、均一の品質を保つことができるのです。

熟成期間中は年間3〜4%が蒸発し、ワインは凝縮していきます。

シェリーの熟成にはボタと呼ばれるアメリカンオーク樽を使います。(※ボタの容量は600?ですが、500?までしか入れません。)
ワインに木の香りや味を与えないようにする為、新樽は使いません。
ですので、シェリー熟成用のボタとして使う前に、蒸溜用の粗いワインの発酵などに何度も使います。

※因みにウィスキーの熟成に使われているシェリー樽は、通常はウィスキーメーカーがシェリーのボデガに樽を預けて、好みのシーズニングをしている場合が多いです。

酒精強化

発酵が終わったワインにブドウ由来のブランデーを加えます。シェリーのアルコール度数は15%〜22%です。

※酒精強化用の蒸溜酒は主にスペインのラ・マンチャ地方の白ブドウ、アイレン種を蒸溜したアルコール度数95〜96%の無色のブランデーを使います。

味わいは?

なんといってもシェリーの魅力は「辛口」から「極甘口」まで幅広く楽しめる、その多様性。どんな好みにも、どんな状況にも、一日のどんな時間にも、ふさわしいシェリーがあります!

最後にシェリーにまつわる小ネタ集

01シェリーは初めて世界を旅したワイン!

大航海時代シェリーは必需品でした。アルコール度数の高いシェリーは長旅にも耐えられ、船員たちの壊血病の予防にもなり、そして飲み干した後の空樽に水を入れれば、バラストになります。波に揺られて熟成したシェリーはさらに美味しくなり、船員達の疲れを癒したことでしょう。

コロンブス

コロンブスは1493年2回目の航海の時、旅の準備を整える為にエル・プエルト・デ・サンタマリアに滞在し、シェリーを積み込みました。

マゼラン

1519年、ジェノバの商人達はマゼランの為にシェリーを417袋と253樽買い、サンルーカルで旅の準備を整えシェリーを積んで世界1周へと出航しました。

02アレキサンダー・フレミングが残した言葉

「もし、ペニシリンが人を病から救うなら、シェリーは人を死から蘇らせるだろう」

03シェークスピアの作品ヘンリー4世第2章より

「もし私に1000人の息子がいたら、まず最初に教える人としての大原則は、水っぽい酒は捨てて、シェリーに没頭しろということだ」

04イギリスの海軍軍人、南極探検家 ロバート スコット

キャプテン スコットは南極探検の時、シェリーを持って行き、最後の彼のお誕生日1911年6月6日にシェリーでお祝いしました。

もっとシェリーを知りたい!という方

生産地ヘレス・デ・ラ・フロンテーラでの3年半に亘る取材を経て、
シェリーのミステリアスな生まれと育ちを紹介する、
3部構成のガイドブック。

『Sherry〜樽の中の劇場』
定価5,000円(税込)

執筆:和泉もも子 / 益子勝也
発行者:高橋美智子
発行・販売:しぇりークラブ (株式会社スペクトラム・コミュニケーションズ)
撮影: ボルハ・ルケ(Borja Luque)
頁数:256ページ
後援:
駐日スペイン大使館
スペイン国営セルバンテス文化センター東京
アンダルシア州政府
アンダルシア製品輸出促進公社
ヘレス・デ・ラ・フロンテーラ
原産地呼称統制委員会